細川忠興

【R18】毒の棘

これさえ終われば解放される。目を閉じ声を殺して、右近はただひたすらに与一郎から与えられる恥辱に耐えていた。いつか終わる、いつか与一郎は飽きるのだ。この体に、この行為に。聡い彼のことだから、これが不毛なものであると自分で気が付くはずだ。そもそ…

【R18】救われるもの

彼は愛していると言った。それに本当の意味で応えることは右近にはできない。しかし彼の好意を無下にしたくなかった。何ができると言うのだろう。この手で。この手でいったい何ができるというのだろう。こんな汚れた手で。人として生きて行く上でいくつかの顔…

その声について

そもそものきっかけを思い出すのは今も恥ずかしい。…夢に彼が出てきた。それだけだ。本当の本当にそれだけなのだ。夢に出てきた人間に焦がれるなんて、恋に恋する乙女ではないのだからと呆れられるだろうし笑われるだろう。自分でも笑ってしまうくらいだ。だ…

祈り、のち

眠りにつく前に忠三郎は神のもとに跪く。胸にかけた十字架を手に、何かを呟いて頭を垂れている。与一郎がいても変わらないその習慣は、神秘性をこめて美しくあると同時に、もはや与一郎の嫉妬心を的確に煽ってくるものでしかなかった。忠三郎が何かにすがって…

莫迦げた話

莫迦な話だ。本当に、莫迦げた話。「忠三殿は長生きに向いておりませんなぁ」酒の席でのこと。どうしてそんな言葉が出たか覚えていないが、たしかに皮肉を込めて言ったはずだ。老いて死を待つだけの存在になるよりも、忠三郎という男は若いまま、あっさりとこ…

【R18】輝く星の落ちる日の

年齢差というものはあまり気にしたことがなかったが、これはどうしたものか。若者の気持ちがわからんと一蹴するほど歳をとったつもりはないのだが、この若い義弟には日々驚かされる。「どういうつもりだ」与一郎がそういうと、右衛門は明らかに困った顔をした…

SSまとめ

貴方は与一郎×右近で『愛してみろよ』をお題にして140文字SSを書いてください。https://shindanmaker.com/375517「隣人を愛するとは、どういう意味なのでしょうか」聞き齧りの知識だ。意味なんかない。右近を抱くことに…

【R18】毒の獄

「男とする時はこうするものです」まあ、自分もそう男を抱いたことがないのだが。まあいい、少なくとも目の前の色の白い無垢な罪なき肢体には疑うべきものではないだろう。与一郎は右近の体を伏せさせ、丹念に後ろを解くと、ゆっくりと自らの雄で貫いた。初め…

いつかあなたに似た人が

改宗してしばらく言われたことは、教義でも救いでもなく右近との関係のことだった。「"右近の門徒"になったのであろう」口々にそう言う彼らに悪意がないことは知っている。彼らにあるのはたったひと匙の好奇心だ。右近が忠三郎に何度もしつこく勧誘をかけて…

鶺鴒は夜霧を越えて

行ってしまった。多くの感染者を出した病は、嵐のように人々を巻き込んで行った。そして彼らは海で南を目指し、旅立った。彼らを先導する男は与一郎の深く知る人であった。まるで嵐のあとの夜のような日々だ。風の音ばかりがいやに響いている。結局彼の言って…

同じ想い 違う心

初めてそれを聞いたのは、久しぶりに二人で酒を飲み交わしていた時であった。その日は月の見えない夜で、隠し事を暴露するのにある意味ではうってつけだったのかもしれない。それに加えたいそう酔っていたのか、与一郎の親友は少々据わった目でとんでもない告…

知らなかった頃へなんて戻れない

形だけの棄教とはいえ、やはり心苦しい。いくつか身の回りのものを手放さざるを得なかったが、最初に洗礼を受けると決めたときに右近から受け取ったロザリオだけは、何があっても手放す気になれなかった。常に身に着け、自分を導いてくれた大切なものだ。ロザ…