目覚めたままのからだ
「只今戻ったばかりで草臥れているとは思うが、なんとなく淋しいので、今すぐ来てほしい。昨晩も来てくれなかったので、今夜は必ず来てほしい」利勝はその手紙を見てため息をついた。この筆跡の持ち主は、普段私的な手紙を利勝に寄越すことなどほとんどない。…
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てほどき
彼が自分にとって何者かなんて知っている。人々の無責任な噂の中には彼の出自を仄めかす類のものがあったし秀忠の耳にももちろん入ったが、おそらくそれらを知る前から直感的に理解していたと思う。彼は兄だ。それも他の兄弟たちとは違う特別な兄だ。墨で塗り…
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【R18】命ばっかり
一体いつからこんな関係になっていたのだろう。軽口をたたいては笑って、その所作の美しさに心を躍らせて、聖堂でうたを歌い、時には悲しみ、怒りをあらわにして……心のすべてを通じ合わせることができなくても、それだけで右近は満足だったはずだったのに。…
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毒の豪雨
雨が降っている、それも大粒の雨だ。声を押し殺し与一郎の指の動きに意識を尖らせ、与えられる甘やかな刺激に耐える右近を見かねた天の情けなのか、それとも罪人を裁く鉄槌なのかは知る由もない。「この土砂降りだ、きっとあなたの声なんて掻き消えてしまうで…
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【R18】どうしても話を聞いてほしいノンケの右近vs絶対に話を聞きたくないバリタチの忠三郎
交流が生まれたばかりの頃、右近が忠三郎に教えの話をすると忠三郎は決まってその話はもう聞きたくないと右近の話を遮り避けてばかりだった。右近としては、忠三郎こそ救いの教えを聞くべきだと思っていた。もちろん彼が仲間になればより一層うまくことが運ぶ…
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【R18】秘灮
今日はどうも右近の様子がおかしいと忠三郎は最初から気がついてはいた。風邪でも引いているのかと何気なく聞いてみたが、本人曰くそうではないようで、昨晩すこし眠れなかっただけだと笑われてその場はなんとなく過ごした。しかし、やはり変なのだ。いつもな…
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【R18】毒薬の海
捕まえた虫を綺麗に分解することが好きだった。幼いころの話だ。今はもうしない。蝶々、カミキリムシ、名前も知らない虫…なんでもバラバラにした。手先が器用だったから、無駄に潰した虫は一匹もいなかったと記憶している。彼らは細部の一部一部すら美しかっ…
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【R18】蜘蛛の巣を壊して
もう何度目だろう。数えるのも疎ましくなってしまった。与一郎が右近の体を抱くようになってから、一年ほどたった。きっかけは思い出せない。記憶という川に靄がかかったように不明瞭だ。…嘘だ。本当は忘れられない。忘れようはずがない。与一郎と最初に過ご…
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【R18】毒の縛め
「可哀想なのでこうして差し上げます」与一郎はそう言うと、右近の弓のようにしなやかな腕を縛り上げた。と言ってもどこにも拘束はされていないし、右近がその気になれば簡単に解ける程度のものだった。「こうすれば、言い訳ができるでしょう?」誰かに見せる…
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蜜虫涙
月の光が弱々しく差し込み、右近の胸元と忠三郎の肩口を照らした。息を殺しながら、再び手を伸ばし右近の慎ましやかな乳首に触れる。びくりと反応し、咄嗟に手を掴まれた。しかし少しずつ力は抜けていく。…どこを触れば右近の気が紛れるかなんてわからなかっ…
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【R18】毒の棘
これさえ終われば解放される。目を閉じ声を殺して、右近はただひたすらに与一郎から与えられる恥辱に耐えていた。いつか終わる、いつか与一郎は飽きるのだ。この体に、この行為に。聡い彼のことだから、これが不毛なものであると自分で気が付くはずだ。そもそ…
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【R18】救われるもの
彼は愛していると言った。それに本当の意味で応えることは右近にはできない。しかし彼の好意を無下にしたくなかった。何ができると言うのだろう。この手で。この手でいったい何ができるというのだろう。こんな汚れた手で。人として生きて行く上でいくつかの顔…
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