高山右近

【R18】毒の獄

「男とする時はこうするものです」まあ、自分もそう男を抱いたことがないのだが。まあいい、少なくとも目の前の色の白い無垢な罪なき肢体には疑うべきものではないだろう。与一郎は右近の体を伏せさせ、丹念に後ろを解くと、ゆっくりと自らの雄で貫いた。初め…

いつかあなたに似た人が

改宗してしばらく言われたことは、教義でも救いでもなく右近との関係のことだった。「"右近の門徒"になったのであろう」口々にそう言う彼らに悪意がないことは知っている。彼らにあるのはたったひと匙の好奇心だ。右近が忠三郎に何度もしつこく勧誘をかけて…

SSまとめ2

十字架あきらめる為に切支丹になった、なんて聞いたら、右近は怒るだろうか。一度、言ってみたかった。あなたをあきらめる為に、神に跪きました、と。「飛騨殿は不思議な方です。ここまでわたしの心を受け入れてくださった方はいらっしゃいません」嬉しそうに…

初夢のはなし

それぞれに初夢がある初夢は割と最悪な夢だった。いや、それはもうどうでもいい。夢なんて大抵支離滅裂なのだから、それが自分にとって都合が良いものなのか悪いものなのかくらいでしか計れないだろう。吉夢とか凶夢なんてものはそれの最たるものだ。与一郎が…

【R18】毒薬の海

捕まえた虫を綺麗に分解することが好きだった。幼いころの話だ。今はもうしない。蝶々、カミキリムシ、名前も知らない虫…なんでもバラバラにした。手先が器用だったから、無駄に潰した虫は一匹もいなかったと記憶している。彼らは細部の一部一部すら美しかっ…

【R18】蜘蛛の巣を壊して

もう何度目だろう。数えるのも疎ましくなってしまった。与一郎が右近の体を抱くようになってから、一年ほどたった。きっかけは思い出せない。記憶という川に靄がかかったように不明瞭だ。…嘘だ。本当は忘れられない。忘れようはずがない。与一郎と最初に過ご…

拝啓、楽園の外より

彼の言葉を借りたとすれば、彼は一度死んでいる。死んだ人間は強い。生きている我々は常に自らの影に繋がれ、ただただ怯えるしかないだろう。だが彼にはそれがない。繋ぎとめるものをなくしたものは、あるがままに執着し、あるがままに求め、あるがままに手に…

【R18】毒の縛め

「可哀想なのでこうして差し上げます」与一郎はそう言うと、右近の弓のようにしなやかな腕を縛り上げた。と言ってもどこにも拘束はされていないし、右近がその気になれば簡単に解ける程度のものだった。「こうすれば、言い訳ができるでしょう?」誰かに見せる…

蜜虫涙

月の光が弱々しく差し込み、右近の胸元と忠三郎の肩口を照らした。息を殺しながら、再び手を伸ばし右近の慎ましやかな乳首に触れる。びくりと反応し、咄嗟に手を掴まれた。しかし少しずつ力は抜けていく。…どこを触れば右近の気が紛れるかなんてわからなかっ…

【R18】毒の棘

これさえ終われば解放される。目を閉じ声を殺して、右近はただひたすらに与一郎から与えられる恥辱に耐えていた。いつか終わる、いつか与一郎は飽きるのだ。この体に、この行為に。聡い彼のことだから、これが不毛なものであると自分で気が付くはずだ。そもそ…

【R18】救われるもの

彼は愛していると言った。それに本当の意味で応えることは右近にはできない。しかし彼の好意を無下にしたくなかった。何ができると言うのだろう。この手で。この手でいったい何ができるというのだろう。こんな汚れた手で。人として生きて行く上でいくつかの顔…