二人して俺になんの恨みがあるんだよ、と与一郎は言ったそうです
その日与一郎は苛立っていた。出かける用事が先方の都合で急になくなり、届くはずの手紙は届かず、手慰みで削り始めた作りかけの茶杓は盛大に手元が狂ってだめにしてしまった。そういう日もあるだろうと楽観的な人間ならば思えるのだろうか。与一郎にはそうい…
BL,SS,歴史創作,細川忠興,茶人,蒲生氏郷,高山右近
小火の炉
「私相手では面白くはないでしょう」長い仕事がようやく終わり、少し話し込むきっかけがあった。信綱は利勝が酒を用意するのを見て、素直に眉根を寄せそう言う。晩冬、まだ寒さの抜けきらぬ夜の事、利勝は笑いながらぬるく温めた酒を口に運ぶ。信綱は酒を呑ま…
江戸初期幕閣BL,SS,土井利勝,松平信綱,柳生宗矩,歴史創作,江戸幕閣
ときには桔梗も踏む
「桔梗か」貴人口から入るなり家光は柱の花に目をやってそう言った。興味があるわけではない。誰にも望まぬ過去があるものだ。家光にだってある。誰にもそれを知らせずにいるだけで、触れられたくない過去など普遍的に存在するではないか。天海はそんな家光の…
COMITIA141,SS,創作戦国,天海僧正,徳川家光,無料配布
濁れる水を
ある時、江戸から離れない藤堂高虎を細川忠興がこう笑ったと言う。「和泉のたわけが、江戸の凝った水など飲んでいられるか」人の噂とはまことに勝手なものだ。人と人の間の水を好きに泳いでは、姿を変えるのだ。受取手の都合の良く形を変えに変えて、たどり着…
SS,創作戦国,歴史創作,細川忠興,藤堂高虎
SSまとめ
貴方は与一郎×右近で『愛してみろよ』をお題にして140文字SSを書いてください。https://shindanmaker.com/375517「隣人を愛するとは、どういう意味なのでしょうか」聞き齧りの知識だ。意味なんかない。右近を抱くことに…
SS,創作戦国,細川忠興,蒲生氏郷,高山右近
SSまとめ2
十字架あきらめる為に切支丹になった、なんて聞いたら、右近は怒るだろうか。一度、言ってみたかった。あなたをあきらめる為に、神に跪きました、と。「飛騨殿は不思議な方です。ここまでわたしの心を受け入れてくださった方はいらっしゃいません」嬉しそうに…
SS,創作戦国,細川忠興,蒲生氏郷,高山右近