デビルメイクライ

too late to love

馬鹿みたいな日常が戻ってきた。フォルトゥナに戻ってきてネロが最初にやったことは、あの詩集を部屋の棚の中に大切にしまうことだった。できるだけ手前の、それでいて見えないところにしまった。本当ならば紙でも巻いて見えないようにすればいいのだが、そこ…

逃がさない

もう何日になるだろう。もう何度抱かれただろう。もう何度絶頂を迎えただろう。今は何時なんだろうか。今は何日なのだろうか。春なのか。夏なのか。秋なのか。冬なのか。もうわからない。「あ、あ…!バージル…っ!体に纏わりつくのは汗や体液だけではない。…

Room

勝手に入るなとは言われていないからといって、何も言わずに入ったのは悪かったと思っている。夕暮れの窓を季節外れの雨がたたいている。昨日からずっと、天は涙を流すのをやめない。同じ姿勢で同じ場所で同じ本を読むにも飽きて、茶でも煎れるかと立ち上がっ…

ずっと一緒にいような

「ん…」今日も体が熱い。しばらく経つと自然と治るのだが、なぜかここのところ寝起きが芳しくない。体が火照るように熱いし、心なしか体も痛い。この体で生活し始めてそう長くはないから、こんな日もあるかと思っていたのだが最近になってどうもおかしいと感…

続・手探りの日記

Vをこの部屋に閉じ込めて一ヶ月が経過した。完全に正気を喪いまるで幼児のように振る舞う彼がもはや愛おしい。もう戻れない。彼の世界を壊してしまった。償いがあるとすれば彼を最期まで愛することだろう。ネロは晩秋の空を眺めていた。もうすぐこの辺りも冬…

SUGAR FIX

こんなことになるならさっさとフォルトゥナに帰るべきだったとネロは今更後悔した。ダンテの事務所に滞在し三日経つ。久しぶりなんだからもっとゆっくりしていけとダンテが言うので、まあ叔父と甥の関係なのだしそれくらいはするべきかと思ったのがそもそもの…

初夜失敗

「ネロ…」Vがネロを抱きしめ、その体に手を這わせる。暖かいその手の感覚に心地よさすら感じた。応えるようにネロもその手を伸ばし、Vの体に触れる。ぎこちないそれにVは意味ありげに笑うと、ネロに仰向けに寝るよう目で示す。素直に従うと、ネロの首筋に…

毒のいましめ

「こうしてやろう、お前のためだ」当たり前の顔をしてバージルはVの腕を頭上で縛り上げた。そして露わになった薄い胸と脇腹を眺め満足そうにそう言う。縛り上げると言っても、その縛めに使った拘束具は何気なくキッチンで見つけたサテンの白色のリボンだし、…

You’ll Never Walk Alone

SCENE1:You'll Never Walk Alone ~戸棚のパン~別にミートパイの味が特別好きなわけではない。むかしむかし……まだ子供だった頃。普段は買い食いを許さない母が、街に出た時だけパン屋のミートパイを食べさせてくれたのだ。…

Baby,SecondCry 3

アンブリッジは、フォルトゥナの街の南側にある小さな生花店だ。丸いドームのような特徴的な建物にはツタが絡み、少し不気味な雰囲気を醸し出している。看板はあるものの、擦れていてアンブリッジとしか読めない。花を置いているから辛うじて花屋なのだろうな…

Baby,SecondCry 2

朝。ネロが東向きの窓から刺す光にその目蓋を開いたのは、不自然なほどに明るい部屋への違和感からだった。「……眩しい……」ベッドは確かに窓の脇にあるが、カーテンを開きっぱなしで寝るほどネロは開けっぴろげな性格ではない。キリエが開けに来たのだろう…

Baby,SecondCry

Second Cry…2度目の産声。転じて自我の目覚めを指す。自立するための叫び、個人の確立を意味する造語。或いは、THE YELLOW MONKEY「jaguar hard pain」収録の楽曲レッドグレイブ市には当てがないし、ダンテの事…