柳生宗矩

小火の炉

「私相手では面白くはないでしょう」長い仕事がようやく終わり、少し話し込むきっかけがあった。信綱は利勝が酒を用意するのを見て、素直に眉根を寄せそう言う。晩冬、まだ寒さの抜けきらぬ夜の事、利勝は笑いながらぬるく温めた酒を口に運ぶ。信綱は酒を呑ま…