SCENE1:You’ll Never Walk Alone ~戸棚のパン~
別にミートパイの味が特別好きなわけではない。むかしむかし……まだ子供だった頃。普段は買い食いを許さない母が、街に出た時だけパン屋のミートパイを食べさせてくれたのだ。
街を歩きながら食べる、決して上等ではないミートパイ……味よりも何よりも、そうした非日常感がうれしかったのだが、いまさらそれを誰にも言えないし、言わなくてもいいだろう……そう思っていた。
「お腹が減っているなら遠慮なく仰って」
キリエは決して怒っていないと思う。Vが勝手に怒っているだろうなと思っただけだ。思い出の中の母とキリエは、けしてすべては重ならない。当たり前だ。別人だし、そこにつながりはないのだから。
すごい女だ、とネロに言ったのは、彼女を通して母を見ただけで、その彼女とともに生きる彼に対する……なにか憧れを見出したにすぎない。
「そういえば、お前なんのパン食べたんだ?」
パン屋に行く道すがら、ネロにそう言われるまでVはずっとそんなことを考えていた。はたと歩みを止める。戸棚にはいくつかパンがあった。その中で一番安価そうなものを食べたのだ。
「硬い黒パンだ」
「……それって、もしかして砕いたクルミが入ってたりする?」
「よくわかったな」
ネロはそれを聞いてあちゃあ、と手を目にやる。
「……それ、キリエの大好物だよ……」
「あれが?」
意外な好物を知って驚くが、ネロはあーあとVの前をわざと歩いた。
「買ったばかりのやつじゃ駄目なんだよなぁ……硬くなったやつをミルクに浸して食べるのが好きなんだよ、あいつ」
「熟成させていたのか」
「感心してる場合じゃねえよ……まあ、新しいの買ってまた置いておくか……」
思い浮かんだのは、キッチンの隅で歌を口ずさみながら、パンをちぎるキリエの姿だった。忙しい彼女の、いっときの安息の時間。そこに貧しさは感じられず、ただあるのは無償の愛情。懐かしさすら覚える、愛情のひとかけらをミルクに沈めるのだ。
「……俺の分も買ってくれ」
「お前はミートパイ食べてろよ」
笑ってそう言うネロはミートパイをふたつ買うと、一つをVに渡した。
ミートパイを食べながら街を歩く。この店のミートパイはトマトソースがかかっている。子どもの頃食べたミートパイはこんなに上等ではなかった気もするが、それでも懐かしい。
「ミートパイに思い出でもあるのか?」
見透かすようにネロがそう言うので少しだけ驚いてその横顔を見る。精悍だがまだ少しだけ幼さが残る頬の感じが、なんだかとても眩しくて、どうしても引け目を感じてしまう。どんな経緯があれ、どんな理由があったとしても、バージルは彼からたくさんのものを奪った。その事実は変わらない。ネロだけではない。キリエも、ニコも、子どもたちも……。
「大した思い出じゃない」
「母さん……いや、俺にとっては祖母ちゃんになるのか……の?」
「そういえばそうなるんだったな」
すっとぼけやがって、とネロはまた笑った。
子どもを育てると言うプロセスを無視するどころか、その子どもより年下の姿でこの世に再び生を受けてしまったVは、母の苦労を完全には理解できない。だが想像することはできる気がしてきた。ミートパイが何となく教えてくれた気がするのだ。
「帰ったら……子どもたちの世話の手伝いをしよう」
Vの提案を、黒パンの代償と思ったのだろうか、ネロは最後のミートパイを口に放り込んだ。
「それくらいはしなきゃダメだろうな」
SCENE2:The Boys Are Back ~Vとおいしいレストラン~
「本当に来てくれるとは思わなかったよ!」
洒落っ気はあるもののどこか雑然とした印象を受けるレストランで、Vは今日から少しだけ働くことになった。そんなに緊張しなくていいからと言われたものの、初めてのことだ。何が起きるかなんてわからない。
ひとまずエプロンとシャツを渡され着てはみた。似合っているかはわからないが、ジョアンはその姿を見てうんうんと頷いた。その頷きが何を意味するのかは知らない。
「なにをすればいいんだ?」
「この紙に注文書いて、俺に渡してくれればいいから」
「ふむ……それで?」
「それでって……それだけ」
「ほう」
思った以上に簡単な依頼だと思ったが、これが始まると戦場のようで、特に昼時などはオーダーが重なり大変なことになった。手伝いということで主な仕事はシーラという若いウェイトレスがこなしていたが、Vもランチタイムの終わる一四時を回るころにはすっかり疲れ切っていた。
「お疲れさん、大変だったな?」
カウンターに座って大通りを眺めていたら、洗い場が終わったとみられるジョアンが両手に紅茶入りのティーカップを持ってやってきた。シーラはというと、店の裏で猫に餌をやっているという。
「思った以上だな」
差し出されたティーカップを受け取りそう言うと、ジョアンは笑った。軽薄そうな男だが、仕事の時は別人のように働いていた。少し見方が変わりそうだ。
「ははは、Vは細いからなおさらだろうな、まかない食うだろ?」
「ああ……助かる」
「たくさん食いな、ラザニア作りすぎちまったから」
出されたラザニアはチーズがふんだんに使われた一皿だった。食欲は掻き立てられるものの、明らかに一人用ではない気がするが……まあいい。無言で食べているとジョアンがそれを何故か満足げに眺めている。
「Vは美味そうに食うなぁ」
「そうか?」
あまり表情に出しているつもりはなかったのだが、Vが顔を上げると、ジョアンはああ、そのままでいいよと前置きしてこう話し始める。
「顔に出てなくてもなんとなくわかるさ。手応えってやつかな……言葉にするのは難しいけど、食べ方かな?」
「そんなものなのか」
「そんなものだね……そういえば」
そう言うとジョアンは周りを見渡して、人がいないことを確認するとVに近づいて耳打ちする。
「最近ニコはどうしてる?」
「ああ…………なんだかよくは知らないが、ガレージに籠って何かしているな。ニコのことが気になるのか?」
Vの一言にジョアンは少しだけ顔を赤らめさせて手を振った。が、その表情は明らかに動揺している。
「い、いやいや、なんていうか……最近来ないからさ、なんかあったのかなって……」
「そうか、ジョアンはニコが好きなのか」
「ばっ……! V、それ誰にも」
「言わない」
くつくつと笑うと、ジョアンは不安げにVを見る。まあ信頼しろとは言えない。しかしそのうちジョアンはああ……と息を漏らし、元居たカウンターに突っ伏した。
「ほんと、ださいな……俺って……」
「どうして? いいことじゃないか」
「婚約してたんだよこれでも……でも五年前のクソッたれで家族もろともおじゃんさ……何でこんなことになっちまったんだろうなあ……」
「……そうか」
なんとなくVはニコがこの店に来ている姿を想像していた。そういえば夜中によく外に出ていたのは、ここに寄るためか。ジョアンはきっと痘痕だらけの顔を紅潮させながら、しかしそれを悟られないように料理を作るのだろう。それにニコが気が付いているかはわからないが……。
「なあ、V、今度ニコにそれとなーくさ、うちに来るように言ってくれないか?」
「それは依頼か?」
ジョアンは静かに首を縦に振った。もうすっかり便利屋だなと思いながら、Vは笑ってラザニアを口に放り込んだ。
「依頼ならば仕方がないな」
後日、Vはジョアンから大量のミートパイをプレゼントされることになる。
SCENE3:(I’ve been to paradise, but )I’ve never been to me マリエのおもいで話
別にオスカーって呼ばれるのが嫌なわけじゃないの。いいじゃない、オスカーって。とってもイケてるわ。でもね、それは残念なことにアタシの名前じゃなかったのよね。
パパもママもアタシやラルフがスパーダ公のような慈悲深く勇敢な男であることを望んだわ。アタシ、それも間違ってるとは思わないの。でも、いろんな人がいていいじゃない?
フォルトゥナを飛び出したのは一六歳の頃だったわ。そうよ、アナタよりうーんと年下のとき。馬鹿でしょう? でもそれ以上に素敵だと思わない? 十六歳で……家出同然だったわ。心の中で何度も謝りながら、朝一番の列車の隅っこで震えてたの。怖くて震えてたのもあるけど、自由を手に入れた喜びに打ち震えてたのもあるわ。
いろんな国に行ったわ。アタシ、ダンスが好きだったから、ショーダンサーみたいなこともしてたのよ。それでお金を手に入れて生活してたの。その国に飽きたらまた別の国に行ったわ。
一番楽しかったのは地中海よ。最初に会った時言ったじゃない? あれ本当なのよ。ネロちゃんはああ言ったけれど……イタリアに一年、ギリシャに二年いたわ。お偉いさんに気に入られて、愛人まがいのことをしていた時もあったのよ。誰にも言ったことはないわ……Vちゃんにだけ教えてあげる。楽しかったけれど、今思うと虚しいわね。悪いことだとわかってはいたのに、それでも関係をやめられなかったアタシが悪いのよ。楽しいことに全てを賭けてしまったの。本当に馬鹿ね。
あら、笑ってくれていいのよ? 実際笑っちゃうほど楽しかったの。お店にある商品もそのころの縁で仕入れているのよ。
五年前のあの事件? ……実はね、お店をちゃんと始めたのはあの事件がきっかけなの。それまでもフォルトゥナには帰ってたわ。最初にフォルトゥナに帰ってきたのは、なんだかんだ一〇年位前かしら。でもやっぱりここには馴染めなかった。当たり前よね、一〇年以上この国を捨てていたのだから。教団によく思われていないことも知ってるし、帰って早々騎士団が家に来たわ。今からオスカーとして騎士団に入団なさいって。そしたらすべて見逃してやるってね。アタシ、その人にね……今思えば本当に悪いことをしたと思うんだけれど……持ってたワイングラスのワインを、こう、ばしゃっと……顔に投げかけちゃったの。向こうはもうカンカンだったけれど、アタシだってカンカンよ。カンカン同士だから話にもならないわ。そしたらラルフが、こいつはそのうちまた外国に行くから入団はできないって言ってくれたの。まあ、その言葉のせいでまたフォルトゥナから出なきゃならなかったんだけれどね。でもそうするつもりではいたのよ。今思えば全部ラルフにはお見通しだったんだと思うわ。
それからちょくちょく帰っては来てたの。アンブリッジに母屋があるのは知ってるわね? あそこに荷物を置きに来てたのよ。ネロちゃんたちも知らないんじゃないかしら。事件があった時……たまたまね、ファッションショーがあるからってフォルトゥナを離れていたの。ダンサー時代の友人がモデルとして出演するからって、本当に偶然。向こうで事件のことを知ったのよ。
でも、あの事件がなかったらアタシ、フォルトゥナでちゃんとお店やろうなんて思わなかったわ。ジョセフィーヌはね、ママがやっていたお店をそのまま使っているのよ。ママは手芸が好きでね、カルチャースクールのようなこともしていたの。パパもママも事件で死んじゃったけど……もっと早く帰ってあげられたらよかったわ。だけどそれはきっと不可能なのよね。
やだ、辛気臭い話しちゃった。で、今日は何か御用時?
SCENE4:Kids are alright! ネロとVと子供たち
今日一日子どもたちの面倒を見るからと言ったはいいが、よく考えたら人間の子と遊ぶなんてそうそうない機会だったので、Vは思わず立ち尽くしてしまった。
「言い出しっぺが何絶望顔してるんだよ」
「俺は無力だ……何の役にも立たない……」
「あきらめるなよ」
子どもたちも最初はVの風体に警戒していたようだったが、最近はネロの友人の同居人……つまり、ある程度は遊んでくれるのではないかと期待のまなざしで見ている子もいるのだ。
「子供と遊んだことがない」
「あの可愛い弟のことは?」
「アレは今も子どもだし可愛くはない」
「じゃあ大丈夫だな」
「まて」
Vの静止を軽くいなしてネロはVを掴んで子どもたちのもとにずんずん進んでしまう。いろいろな子どもがいる。好奇心旺盛でVに寄ってくる子ども、近寄りはしないものの期待の声をかけるも子ども、ただ怯える子ども……その中でも普段からキリエと離れようとしない甘えん坊の少女レイラは、ネロと一緒とはいえVがそばにやってくるので体をびくびくと震わせてその姿を凝視していた。
「大丈夫だ」
ネロがレイラに向け眉を下げるが……ネロもキリエが買い物に出ていないので勝手がわからないようだ。そうこうしている間に他の子どもたちが少しずつ寄ってくる。彼女一人にだけに割くわけにはいかない。いつもキリエはこれをこなしているのだろうか。
「じゃあ、ガレージの外で遊ぶか……」
子どもたちを引き連れ、ガレージを抜けて庭に出る。青空が陽気に傾きはじめ、その光は柔らかく子どもたちを包む。けして拒むことはない。彼ら彼女らひとりひとりが、その小さな背中に背負いきれないほどの悲しみを染みつかせていることを、その陽射しは知っているのだろうか。
ボールを投げるビッキー、ただ無邪気に歓声をあげながら走り回るベル、何か目的があるのだろうか、土をこねくりまわすリーンとフレップ、子どもの数だけ遊びはある。レイラはただ一人、ぽつんと座っている。
もとより子どもと駆け回って遊ぼうとは最初から思っていないVは、レイラの隣に座る。表情は見えないが、微かに緊張しているのがわかった。
「俺が怖いか」
「……ううん」
「キリエがいないのが寂しいか」
「……」
黙りこくるレイラの隣で、Vは最初こそ少し困ったが、よく考えたらそこまで困ることでもないなと思った。なんとなくわかる。話のわかる大人のそばのほうが、気が楽なのかもしれない。
その気持ちはわかる。でもそれは、子どもの頃隣にいた、寝ている時以外は全て喧しい……それでいて、離れがたいあの存在があってのことだ。彼女がどうしてここにいるかもわからないが……きっと、何かがあるのだろう。だがそれは聞かないでおこうと思った。それはきっとVがやすやすと触れていいものではけしてないから。
「お兄ちゃんがいたから寂しくないの」
不意にレイラが話し始めたので、Vはゆっくりとレイラの方を見る。パステルピンクのワンピースの裾をぎゅっと握ったその小さな手は、その年齢を考えると不自然なほど……あまりにも力強い。
「兄が?」
「うん……今は会えないけど……」
ぽつり、ぽつりと話し始める言葉を総合すると、彼女には双子の兄がいたそうだ……五年前まで。
おおよそ一〇歳ころだろうから、彼女の話す兄との記憶はたどたどしい。だがそれは……Vの記憶を確実に引っ掻くものだった。庭で遊んだこと、母に怒られたこと、仲直りをして……一緒に昼寝をしたこと。夕方、母の作るスープの香りで目を覚ましたこと……。
あまりにも心当たりがある。まるで、Vが……いや、バージルが心の奥に置き忘れていたものが目の前にあるようだ。不思議な感覚に襲われるが、一つの事実がVを現実に戻す。
彼女の兄はすでにこの世のどこを探してもいないのだ。彼ら彼女らは人間だ。復活することはない。当たり前だ。なぜなら人間だから。その魂が揺らめくことはない。誰も傷つけない代わりに、もう元の場所には戻らない。当然だ。当然なのだ。
「……V?」
気が付くとネロがVの目の前にいた。レイラは話すことをやめて、ネロのもとに駆け寄る。
「レイラ、Vと仲良くなったか?」
ネロの言葉にレイラは頷く。仲良くなれたかは正直微妙だが……レイラは話せてうれしかったのかもしれない。その代わりにVが話せることは少ないが……何もしないのはなんとなく違う気がする。
「話の礼をしなければならないな……」
そう言ってVは一つの詩をレイラに送った。
もしこの思いが天からの贈り物なら
もしこれが自然の計らいなら
わたしはもう悲しむことはない
人間もまた自然の一部なのだ
SCENE5:Regent Bluesラルフとネロとリーゼント
朝起きてラルフがすることは、まず大量のポマードを髪に撫でつけリーゼントを作ることだ。いつからかと言われるともう思い出せないが、何十年も前からだと思う。教団制服を着るときも欠かさなかったそのルーティーンは、ラルフのアイデンティティそのものにもなっている。もう誰も何も言わない。
子どもの頃から硬派だったわけではない。むしろ花屋の息子……そして風変わりな弟を持つ兄として、彼は常に当たり前を求められていた。リーゼントは、だから大人になってようやく手にした自由だったのかもしれない。
「今日も決まってるな、リーゼント」
ガラス戸を開けて入ってきた男は、いつもの痩せぎすな男ではなかった。そんなこと言ってくるのはネロくらいだ。
「ご挨拶だな……Vはどうした?」
「今日は俺が代わりだよ。Vは昨日ジョアンのところで絞られたらしい。朝からぴくりとも動かねえ」
「アハハ、あいつひょろいもんなあ」
「配達あるのか、今日」
「ないない、なあんもねえよ」
「そんなんで大丈夫かよ? じいさん悲しむぜ」
「優秀な妹がいるもんでな、助かってる」
「ああ……なるほどね」
そう言ってネロはカウンターの前の椅子に座る。その背中はいつの間にこんなに逞しくなったのだろう。つい最近までガキだったくせに。まあ、そのガキなネロを家族に持つクレドに少しだけ羨望はあったが。それはネロの知らないことだ。
「あのさ」
ネロが、その背中を少し傾ける。視線は店先の路地を見ていた。人通りが少ない裏道だが、この道沿いに新たに劇場が建つことが決まっている。そうなったら売り上げも伸びるだろう。
「あの、Vがアンタからもらった薔薇……なんだっけ」
「サンクタか?」
「そうそう、それ……あれって大きくなるのか?」
「木だからな……どちらかというと横に広がっていく感じだな。石垣に使ってるところもあるぞ」
「すぐに枯れたりしないか?」
「お前、うちを散々手伝ってるくせに全部忘れるのな」
「いや、だって……今まで興味なかったし」
「……枯れねえよ。あれは原種だから強い……あー、お前さ、薔薇って聞いてああいうの想像してるだろ」
そう言って店先に置いてある鉢の赤い大輪の薔薇……パパメイアンという……を指さした。まあ、一般的に薔薇と聞いて想像するのはあのような剣弁高芯咲きの薔薇だろう。翻ってサンクタのような原種の薔薇はほとんどが一重咲きだ。
「違うのか」
「そうかぁ知らねえか、じゃあ教えねえ」
「なんでだよ」
「咲いてからのお楽しみ」
「やべえ花が咲いたら引っこ抜いて返すからな」
「アハハ」
翌年、ラルフは仕事の配達のついでにネロたちのもとを訪れた。足はすっかり良くなったから、またバイクも始めた。マリエは反対したが、俺は自由だと聞かないようにしている。
庭先には小さな木に、これまた小さなピンク色の花が咲いていた。
あとがきと元ネタ
わたしはペーパーを作っているはずでした。なんでコピー本になっちゃったの。ということで、新刊のボツ案をいくつか集めてみました。ボツ理由は内容でお察しいただけると思いますが、モブメインのシーンが増えてしまったからです。どうしてもキャラクターを掘り下げるうちにできてしまうエピソードの煮凝りのようなものです。ついでなので本になりました。
何度も書いてはいますが、今回を機にデビルメイクライを含めた二次創作から離れることになります。最後にやり残したことがないようにできるだけ時間をかけて書きたかったのですが、なんだかんだ時間が取れずこんな形になってしまって申し訳がないです。デビルメイクライに出会って一〇年、様々なことがありました。とても勉強になりました。ありがとうございます。
▽絶対に最後にやることじゃないと思ったフォルトゥナに住む人々の裏話
トラスト…実は日本人。本名は由比信愛(ゆい-のぶちか)並木の書く創作に隙あらば登場する皆勤賞ジジイ。高知県宿毛市出身。専門は内科(消化器内科)だけど何でも診てくれるよ。娘の名前は不美子(ふみこ)
マリエ…キャラクターの根底にあるのは並木の創作戦国現代パロディの古田織部でした。名前の由来はイエローモンキーのマリー姉さん。本名のオスカーはトーマの心臓から。そういえばエーリクの母もマリエでしたね。
ラルフ…完全に元横浜ベイスターズの三浦大輔です本当にありがとうございました。もしもフォルトゥナにネット回線がつながってたら確実にブログをやっているし、たぶん文末はいつも「ヨ・ロ・シ・ク!」
ジョアン…ニコに惚れてる青年という設定で書きたかったはずなのにどうしてこうなった。
▽すぺしゃるさんくす
・タイトルネタ元→DROP KICK MURPHYS(You’ll Never Walk Alone/THE BOYS ARE BACK)/Charlene Marilynn Oliver(I’ve never been to me. 愛はかげろうのように)/Air(Kids Alright)/RIKI(リーゼントブルース)
・Vの詩の元ネタ→ウィリアム・ワーズワースの詩「早春の賦」(直前まで並木がブレイクと勘違いしていた一遍)
・読んでくださったすべての皆様
ほんとうにありがとうございました! またどこかでお会いしましょう!
二〇二〇年一〇月一一日
並木満