衆議院総選挙RTA完走の感想(ある日本共産党員の選挙報告)

こちらは、2026年2月22日に頒布された無料配布コピー本の一部です。

☆はじめに
この本は2026年1月27日公示、2月8日投開票の衆議院議員選挙における並木満の感想記です。実際に起きたことですが、基本的に書いてあることは並木満の個人的な感想ですので、所属する政党や地区委員会、その他団体の総意ではありません。党歴4年目のヒヨコの妄言とぼやきです。
☆並木満とは
普段は歴史創作でBL小説を書いているオタク。
日本共産党員で労働法学者だった祖父の影響で左派思想を持っていたものの、日本共産党に入党したのは2022年というニュービー。現在は都内の区議団事務局、ついでに広報のようなこともしている。自分でも自分の肩書がわかっていない。
なお、選挙期間中にスマホゲーム実況パワフルプロ野球の最愛シナリオ「恵比留高校」に追加シナリオが実装され、推しがこの世から消えた模様。闇野栄剛くんを探しています。

☆すべての始まり
マジかよ。
今回、選挙に関わった人すべてが総選挙の一報を聞いたときにそう思ったでしょう。
並木も思いました。
昨年の東京都議会議員選挙、参議院選挙で無事に消し炭になった並木。次回は2027年の統一地方選挙だと息巻いていました。
25年末から候補者になりそうな人に「動画を作りましょう」「今から素材集めをします」と声をかけまくっていた。なんなら週一動画なんかやっちゃう!?なんて企画も立てていました。めっちゃ楽しかったです。あの頃は。
年明けて2026年。並木は実家で箱根駅伝を見ていました。母校は13位、思ったより順位が高いな〜なんて思っていたら、アメリカがベネズエラに軍事侵攻をかましたと言うニュースが耳に入ってきました。
気が触れたんか?
やるんじゃねえかと危惧していたけどついにやったかこのやろう、と並木はブチギレて署名活動を開始。幸い3万を超える署名が集まり、さらに幸いなことに提出先として外務省がいいのではとあちこちで助言を受け、色々あって国会議員も同席してくれることになっていました。議員はいっぱいいた方がいいと思ったので並木は人生で初めて現政権与党の各議員事務所に連絡したりなんかしていたんです。
それが「衆議院解散」というニュースで全てひっくり返ったのが提出1週間前。
気が、触れたんか?(2回目)
結局署名は想定していたより早く提出せねばならないことになり、議員も当然集まらない。結果的に提出もできたが、息つく間もなく1月23日に解散確定、27日公示、2月8日投票日というドタバタなスケジュールが幕を開けたのである。
ここからは総選挙RTA感覚で眺めていただければ幸いです。
「完走の感想」とか言ってる時点でもう気分はRTAinJAPAN
では、Good Luck!

☆初日、そして前提事項
日本共産党の第一声は池袋駅で行われた。
並木はここに行かなかった。いや、行けなかった。
場所は池袋から少し離れた都内某所。
解散報道から実際の解散までとんでもないスピードだったため、自分が暮らしている地域での配布ビラが間に合わず、必死こいて届いたビラをひたすら折っていた。こんなことをしている場合ではないのにな、と内心思っていた。

なお、この時点で並木がやらねばならないことを羅列すると
・比例候補者や国会議員が地元に街頭演説に来ることを告知する画像の作成
・街頭演説の告知そのもの
・街頭演説をYouTube配信する場合の枠立てとサムネ画像の準備
・確定申告の詰め作業←こいつが一番後回しになっているが実は放置するとヤバい
・職場の会計報告の詰め作業←こいつが以下略
結論:俺があと3人は欲しい

別に並木満が余計な仕事を抱え込んでいるとかそういうスカした理由ではない。並木の周りの人間が怠惰というわけでもない。純粋に人手が足らなさすぎる。
SNS対策は現在どの党も喫緊の課題となっている。いわゆる通常のWEBマーケティングとは話が違う部分もあり、また公選法という制約も大いに影響されるため、どんなにネット戦に強いとされる政党も課題に挙げないところなんてないと思う。我が党は全体的にメチャ弱なので、うちの地区は副委員長と私がSNS担当を二人でやっている。
基本的にこのRTAはこういった慢性的な人手不足の話になるので、前提として抑えておこう。並木とのお約束だぞ!

☆配信と過食
配信が少なくとも2日に1日はあった。
うちの地区は並木のiPhone16proで配信をするようになったので、全責任が並木に降りかかることになった。遅刻してはならない、トラブルがあってはならない、チャット欄は地獄の様相、毎回毎回張り付いて荒らしてくるお前はもしかして荒らしに見せかけた共産党大好き拗らせオタクくんなのか!? まあ共産党なんか好きな人は大抵拗れてますからね。
わたしだったら再生数を応援してる政党のために使うけどなぁ…複窓なのか? 昼間からご苦労なことだ……。
そんなこんなでストレスで過食は止まらない。もしいつかこのクソコメント書いたやつに出会うことがあったらわたしの体重で確実に圧殺してやろうという信念まで帯びた過食。
そんじょそこらの「食べすぎちゃった〜☆」ではない。1回の食事で平均してカップ麺1個と袋麺2袋、たまに安く買った肉を豪快に焼いたものを3人前なんてザラだった。頑丈な胃に産んでくれた親には感謝とドロップキックを。
そんな私の胃に審判が下ったのだが、それは次の話で。

☆俺だってバックレてえよ
ラストサンデー(投票日前最後の日曜日。今回の選挙の場合2月1日が該当する)高市早苗が日曜討論をドタキャンした。
これについてはたくさん議論があったので、詳しい経緯は省く。
どう考えても東京から岐阜県可児市までは4時間かかるのでさてはヘリ移動したのか? とか、それはそれとして公人として自らも疾患があるのにOTC類似薬は保険適用から外すんですか? はあるのだが、そのあたりで留めておく。
これは並木のRTAだ。高市早苗の話はもはやどうでもいい。
並木は選挙期間中に病院の予約が入っていた。12月に予約を取ったので当然選挙になるなんて思ってもいなかったのだ。

バックレたい。理由を書こう。

受診するのは肥満外来だ。並木をご存知の方ならわかると思うが、並木は163cm104kgという恵体で、30歳を超えたあたりから体のあっちゃこっちゃにガタが来ている。
これまでは対処療法をしてきたが、いよいよ根治治療ということになったのだ。去年の夏から半年間、血液検査と栄養指導を受け、遂に2月3日にゼップバウンド(ネット上では別名であるマンジャロという名前の方が聞き馴染みがあるかもしれない)を処方され、翌日に自己注射することになった。

選挙後半も後半である。

これを飛ばすと次は来月。日々体は痛めつけられている並木にとって、一日でも早く治療を開始したほうがいいのは自明だ。睡眠時無呼吸症候群になってしまったので夜10時に寝ても目覚めるのは翌日の昼頃とかいうおしまいな人間生活をやっていた。いずれ本当に倒れるかもしれない。もしかしたら選挙期間中に何かあるかもしれないということすらある。
しかし、この注射薬にだって副作用はある。並木は薬剤の副作用で都合1年苦しんだ過去がある。もしそんなことが起きたら今管理している地区のSNS(よりによってYouTubeまで並木が管理している)を今後誰が運営するというのか。今でさえ並木と一部の役員しかYouTubeアカウント管理画面に入れないという属人性1000%の仕事なのに。

ということで、バックレたかった。それもこれもこんなタイミングで選挙を行う方がいけないのだ。ばかなのか。せめて1か月前にわかっていれば対処できた。ふざけんなよ。

結局、病院に行き、翌日自己注射をした。副作用らしいものは出なかったが、選挙期間中ははらはらした。食欲がなくなるのは助かったが、知らないうちにエネルギー不足にならないように気を付けるのも大変だった。大きな病院でしかゼップバウンドは処方できないので9時に受付をして処方に至ったのは14時。選挙活動なんてできたものでもなかったのも悔しかった。

☆共産党vs青空vsワタリ119 雪の下北沢大決戦
選挙戦最終日の7日夜。並木は下北沢にいた。
実はこの日、比例カーは我が地元世田谷区に入らないため、音を出しての宣伝はできない。しかし公職選挙法では「スピーカーを使用しての宣伝ができない」だけなので、ただ立って声を出すだけならばセーフ。更には選挙とは直接無関係のビラ(いわゆる政策だけが書いてあるビラ)ならば撒くことだってセーフだ。これを数少ない若手たちでやろう、ということになった。

折しも投票日前日は雪のちらつく中。防寒対策は万全とはいえまあ夜の下北沢、賑やかな中でビラの受け取りもそんなによくない。冷えるのでみんなポケットに手を入れているのでわざわざ受け取ってはくれないというのもあるが、人通りが多いと逆に受け取ってくれない現象は政治ジャンルのみならず演劇界隈にいた頃から意外とあるある。

そんな中、近くに座っていた青年がおもむろにギターを取り出し歌い始めた。
聞き慣れたメロディ。ああ、ブルーハーツだ。淡い光の帯がオーロラのようにたなびいていく、そんな音色。
青年が歌い始めたのは名曲「青空」だった。彼が何を思ってその歌を選んだかは知らない。

『生まれたところや、皮膚や、目の色で、いったいこの僕のなにがわかるというのだろう』

昨年の選挙から外国人差別は増すばかりで、目の前の人間すら疑いの目で見てはそれらが晴れないことを恨む日々だった。彼のうたうその歌詞は、少なくとも並木にはたしかに聴こえていた。
「青空」発表から何十年経ったというのだろう。

『運転手さん、そのバスに僕も乗っけてくれないか』

White Onlyは日本では「日本人ファースト」などという馬鹿げた、それでいてこの国の歴史を徒に汚すだけの名前に変わった。歴史ジャンルにいる人間として、苦々しくそれを見つめている。
かれらはただ「この国にたまたまルーツを持った(だけの!)特別な自分」という称号が欲しいだけで、日本史も文化も民俗もなにも興味がないではないかと叫びたくなる。

『こんなはずじゃなかっただろう、歴史が僕を問い詰める』

インターネットはユートピアだと少なくとも10歳の私は思っていた。
彼らは私に難しい日本語を教えてくれて、小説を書いて発表するという居場所を与えてくれた。インターネットに棲む人々はいつも私を迎えてくれた。あれから26年が経つ。26年前の、Windows98を楽しそうに触る並木満に言えるのだろうか。
そこ、地獄になるよ、と。

気が付くと並木はビラ配りをしていた地区の副委員長を呼んで、二人で聴きながらビラを配った。雪の降る夜の下北沢は青空からほど遠かった。
青年に心からの拍手とガッツポーズと送り、ふと視線を駅前広場に送ると、異様に目を引く赤と青が隅にいた。

ワタリ119じゃん。

どうやら21時から舞台があるようで、雪の中あの格好で(わからない人はYouTubeで検索すると出てくるので参照されたし)呼び込みをしていた。めちゃくちゃファンサしまくってた。

た、たいへんだなあ……。

下北沢は演劇だけでなくお笑いライブも多く興行されるため、夕方などは若手芸人さんたちが呼び込みをしていることがしばしばあるが、夜の、しかもこんな雪の降る中でテレビに出ていたような芸人さんが呼び込みをするのは流石に珍しいと思う。
なんだか、全然やってることも違うし思想も別だとは思うのだが、やっていることが似ているだけに「互いに頑張ろうな」と謎の連帯感が並木の中で生まれていた。21時前に並木は下北沢を出たが、実際あの呼び込みでワタリ119のライブにどれだけ集まったのだろうか。気になるところである。

☆ラストスパートの感じが好き
選挙期間、というのは公示または告示日から投票日前日までを言う。スピーカーから音を出していいのは夜8時まで。よくマイク納めと言うが、これは大体その時間にあわせる。
しかしインターネットの「マイク納め」は夜8時ではない。当日23時59分までは選挙活動をしていいことになっている。気分はまるでシンデレラ。

そういうことで、マイク納めからの約4時間はインターネットでのたたかいになる。そして現地では役に立たないがインターネット世界では多少役に立つのがインターネットが産んだ悲しきモンスター並木。言うて今回の選挙でモンスターエナジー3本も飲んでないからそんなにモンスターではない。え、去年の選挙ですか? 告示から投票日まで毎日ユンケルとモンエナに頼りっぱなしでしたが?
そんなんだから心肥大するんや。

とにかくこの4時間は大事なのだ。
翌日に少しでも爪痕を残そうと、インスタのストーリーやらXの固定やらを整え、とにかくシェアして拡散をする。ほぼ休むまなくタップしまくる4時間だ。なにせ出せる範囲で一番新しい情報なので漏れのないようにチェックする。きっとお金のある所はこの辺うまくシステムにしてんだろうなー!とでかい声をあげながら拡散をつづけた。

この感じ、嫌いじゃない。
同人活動歴7年目で未だに締切をぶち抜くことをやったことがない並木だが(チキンすぎて締切1週間前には提出してしまう)、もしも締切間際にヒーヒー言いながら原稿をやることがあるとしたらこんな感じなんだろうなと思う。大変だし辛いが、嫌じゃない。
選挙全般がこうなので、選挙に取り憑かれる人が一定存在するのはこう言うところにあると思う。いい年こいた大人たちが全力でこういうのをやっているおかしみもどっかで感じているから、なお面白いのかもしれない。

☆「選挙が終わった後の世界」
投票日翌日。結果は我が党の惨敗となったわけだが、がっかりしてもいられない。
多くの地方議員に待ち受けているのは今年初めの議会「第1回定例会」がある。所属政党が総選挙に関わった議員は選挙中から質問準備に追われるのだ。また第1回定例会は来年度の予算委員会も付随しているため、更にその質問項目を作る必要がある。
並木は地方議会の共産党議員団で事務局をしている身だ。普段は議員たちの会計調整や、告知画像づくり、動画づくりをしている。

いわば「選挙が終わった後の世界で働いている」と言ってもいいと思う。

議員たちはそれこそ締切前の漫画家のように質問原稿執筆に追われている。選挙がきっかけで地域問題に改めて気が付く議員もいるし、選挙がきっかけで相談にくる住民もいるから、良い質問ができたのではないかと出来上がった原稿が回覧されるたびに思った。

そして都内では翌週末の15日に投開票を行う町田市議会議員選挙・日野市議会議員選挙が始まっていた。選挙に次ぐ選挙だ。実は毎週のようにどこかで選挙は行われている。そのたびに、いい年こいた大人たちが自らの主張だけを手に街に立っている。ネットで拡散を呼び掛けている。動画を作っている。選挙ライターの畠山理仁氏を取り上げたドキュメンタリー映画「NO選挙,NO LIFE」にでてきたフレーズ「選挙は続くよ、どこまでも」はまさしくそうした日本の選挙制度を指しているといっていいと思う。

選挙の結果でがっかりしている人も、この本を読んでいる中にはもしかしたら多いかもしれない。気持ちはよくわかる。私もだいぶ落ち込んだ。
しかし、今住んでいる土地の次の選挙はいつだろうか? それを知るのが希望への第一歩になるかもしれない。多くの自治体は来年4月に統一地方選挙で市区町村議会の議員選挙、もしくは市区町村長選挙がある。また、都道府県議会議員選挙や知事選挙もある。この土地は次はいつ選挙があるのだろう?選挙ドットコムなどで調べると大体のスケジュールが出ていたりする。
そして応援している政党が立候補するかを確認して、もし出そうであれば(現職で議員がいればほぼ出ると思っていいと思う)、何かできないか考えるのもいいかもしれない。
地域から国政を変えることはけして不可能ではないからだ。

意外と小さなチャンスはあちこちにある。しかも今回のように急な選挙というのは例外的だ(たまに知事や市長がやらかして辞任して選挙になることはあるけれど)準備は出来る。

今回の選挙で、政治に興味を持ったという人も多いだろう。小難しい専門用語だらけだが、ぜひ一歩踏み出してみてほしい。
議会監視は市民の義務というがそれでは仰々しい。議会ウォッチャーくらいの気分で、地元の議会にふらりと立ち寄ると意外な発見があって面白いかも、くらいのノリで来てみてくれたら、並木のような日々議員団のお知らせを作っている人間は嬉しくてうれしくて転がりまわってしまう。

こうして、並木の衆議院解散総選挙は日常に還っていったのだった。

あとがき

無料配布にこんな力を入れるな。それはそう。
こんな戯言を最期まで読んでくださりありがとうございました。年明け一発目から大変なことになり、ああこれは何らかの形で文章にしないと私の気がおさまらないなと思って書き溜めたものをまとめて作った次第です。
選挙の中の人の独り言と思ってくだされば幸い。そして選挙結果にがっかりしてる人に、少しでも何かが残ればいいかなとは思います。少なくとも、中の人も人間なので、お気軽に話しかけてみてね。ここにも書けないような面白い話をいっぱい持ってるので。
noteに上げるのも考えましたが、まだ検討中です。一応私が並木満という名義で活動していることは職場や共産党地区委員会では公式で明かしていないので(一部知っている人はいるけれど)、ここだけになりそう。そういうことなので、内容をWEBなどに転載される際は必ず奥付のメールアドレスにご連絡ください。
歴史創作を期待されていた方、すみません。完全に解散総選挙のせいで今年出る本のスケジュールが飛び、腹が立ってやりました。並木の歴史創作を見るには平和な世界が必要です。ご理解ください。

2026年2月26日