織田有楽

山の井戸

互いに清い人間ではなかったと思う。長益は隠居し、有楽と名乗り、しばらく何もないことを楽しんでいた。周りは長益を良くも悪くも放っておかなかったが、時々何もない日があっては、思い出すのはけして清くはなかった連れ合いの話だ。不思議な男だった。別に…